editing body around the sounds、終了。


1月16日は、サウンドアーティストの中川裕貴さんによる「editing body around the sounds」が朝10時から夜21時まで気づきの広場で行われました。
中川さんは、普段はライブハウスなどで活動されているとの事で、今回の應典院のロビーのような所でのパフォーマンスは初めてだと伺いました。

囲われた空間で、観衆が聞くという行為に集中する事が当たり前の場所ではなく、窓から外の景色が見える開放感のある場所という事で、「縛り付けて聞き入らせるのではなく、たまたま通りすがりに音が耳に入ってくる。展示を見ているついでに音を聞いている。そんな自由な空間を作ってみたい。音で空間を表現してみたい。」と話して下さいました。
公園のように芝生をひいた空間の中、チェロの音が響きます。

2階の広場だけでなく、1階にもスピーカーを置いて、應典院全体に音が広がっていました。

弦を不規則に弾く音とマイクを通して外界から取り入れた音が混ざり合い、時に無理やりにハウリングを起こし、音楽ではない単音の続く空間。

普段、音を曲や単なる物音として感じている耳には、はじめとても不可思議な空間に紛れ込んだかの様な印象を受けました。

また、長時間のパフォーマンスで、飽きる事があるのでは、とも思っていましたが、時間が経つにつれて、パフォーマンスをしている中川さんの存在や紡ぎ出される音は、最後には公園に溶け込んで、時間と共に移り変わる景色に時々気づいて眺めては、ふとした発見に嬉しくなる。そんな思いもかけないプレゼントをたくさん貰えた感じがして、1日を應典院で過ごして得をした気持ちになりました。
中川さんにとっても実験的な試みだったそうですが、時にロビーの照明を消し、暗がりの公園の中、メトロノームの音だけが鳴り、手元のライトでそのメトロノームを照らし出すなど、音が空間自体を構築する様子は、何気なく耳に入ってきていた音が持つ別の可能性を気づかせてくれました。

(桝田聖美)

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