寺子屋トーク終了! 社会編集者たちのいとなみについて

1月17日(日)は應典院の恒例シンポジウム「寺子屋トーク」の第57回目が開催されました。タイトルは今回のコモンズフェスタのタイトルと連動するもので、「+socialの編集者たちが語る 思いをつなぐしくみ・地域に根ざすしかけ」です。阪神・淡路大震災からちょうど15年が経つこの日に、日本で注目を集めている4人の「震災世代」の若手社会活動家を招いた本シンポジウムでした。




一部は、チャリティプラットフォーム理事長の佐藤大吾さんと、公益財団法人京都地域創造基金理事長の深尾昌峰さんの対談。テーマは「いかにして日本に寄付文化を創造するか 〜お金の流れと志のつながり〜」。とりわけ深尾さんの「“NPO”というイメージに回収されない、もっと自由な活動を」「NPOが行政の下請けになるのではなく、市民社会全体でNPOを支えて行く仕組みをつくるべき」、そして佐藤さんの「NPO活動である程度の生計を立ててゆける様になるために、とにかくNPOの成功事例を作らないといけない。」「NPOのお金を出す具体的な仕組みをつくるべき」といったご発言が非常に印象深く感じました。そういった問題意識の下で、「寄付をする」という行為が、社会参加の上でのひとつのメニューとして定着するための方策について、熱く語られました。


二部は、震災当時、神戸大学国際文化学部の避難所にて共に震災ボランティアをしていた石川県七尾市役所のまちづくりコーディネーター 谷内博史さんと兵庫県会議員(無所属・市民派)のいなむら和美さんの対談。当時の体験を振りかえりつつ、現在各々が関っている地域コミュニティでの取り組みを見つめ直す場となりました。とりわけいなむらさんの震災ボランティア体験の話が非常に生々しく印象づけられました。外部からボランティアにきている人たちと、救護されている現地の人たちとの間にある超え難い壁。しかしその壁の存在を受け入れつつも「わたしとあなたの問題と区切ってしまうわずに、“わたしたち”の問題と捉えなおす視点が重要」といったご発言からは、様々なコミュニティの課題に関わる我々應典院スタッフにとっても、非常に示唆に富んでいました。また谷内さんの能登半島地震(2007年)におけるボランティア受け入れ経験から感じた「新たな都市と農村の交流」のお話は、震災ボランティアの在り方がこの15年の間に変化してきている(もちろん地域や震災の規模の差はありますが)ことを如実に現していたと思います。

最後の三部では、ゲスト全員と会場参加者を交えてのトークセッションが展開されました。会場からは「震災から15年で社会はどう変わったか」また、二部のいなむらさんのご発言を受けて「あなたとわたしの間に横たわる(問題)意識の共有」といった内容に関する質疑応答が交わされました。

全ての部に共通するエピソードとして大変興味深かったのが、ゲストの多くが、そしてゲストと同じく当時震災ボランティアを経験した人たちが「あの日は夜中必死に試験勉強をしていた」とおっしゃっていたことです。皆各々が新たな学業へと向かってゆく、また今まさに社会に出て行くタイミングを直前に控えていた人たちだったー そんな最中に震災が起こった事実。そしてちょうどその時に情報発信ツールとしてのインターネットが普及し始めたこと。こういった時代の共有感覚が、まさに「社会をリ・デザインする編集者たち」の活動の根本に流れている原体験なのだと、改めて考えさせられました(W,A)
(↓↓写真は空間展示「トランスパブリック」の中での交流会の様子↓↓)

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