混迷の時代、貧困、病気、対人関係の悩み、心の病い、孤独からの救いを求めている人が多数いる。そして、縁あって伝統仏教、神道、キリスト教、新宗教、あるいはNPO、自助グループなどで苦から幸せへの道を探求する。彼ら、彼女らの苦から救いの叫び、その苦は、宗教者にとって自らの人間力をさらに磨きあげる砥石であろうか。そのような体験主義はNPOのスタッフ、ボランティア、宗教者に通低する、人格、人間力を陶冶する生き方の姿勢だ。
信仰に加え、現場での体験の積み重ねが、その人をして、まわりの人に安心感を与える社会的人間を生み出す。それは、何か遠いところにある聖人ではなく、人間味ある、社会に生き得る宗教者だ。見えない形かもしれないが、これも社会に貢献する一人の人間としての宗教者の姿ではないだろうか。そこに、次代を担う青少年のロールモデルを期待するのは私一人ではないだろう。

(稲場圭信・大阪大学大学院人間科学研究科准教授)
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