コモンズフェスタ「トランス・パブリック」仕込みはじめ

 いよいよ、コモンズフェスタ2009/2010の期間全体を貫く展示「トランス・パブリック」の仕込みが始まりました。空間構成をいただいているのは、ランドスケープ・デザイナーの花村周寛さんです。これは一目瞭然、なのですが、「道路標識」をモチーフにした展示が、應典院の各所に置かれています。まちのなかで随所に見かける「記号」である道路標識が、應典院というお寺の内部空間へ持ち込まれているのです。
 当初、この企画には、「パブリックモード/プライベートコード」という名前がつけられていました。private codeとは通常は暗証コードを意味するそうです。なぜ、そこに「パブリックモード」という、対比的な概念が合わさったのか。そして、なぜ「トランス・パブリック」という名前になったのか。まずは、以下、花村さんがまとめられたコンセプトをご参照いただければ、と思います。

「みんなのため」がパブリックだとすれば、何をすることがみんなのためになるのかがとても見えにくい時代に僕らは社会に出た。そんな僕らは、とてもプライベートな「自分のために」していることをみんなと共有していくことからパブリックを考えようとしているのかもしれない。この空間構成/インスターレションではプライベートとパブリックを反転させたり相互貫入することで 僕らの時代のパブリックを問い直してみたい。街にあふれているパブリックの記号を使って、プライベートな表現をしてみること。あるいはプライベートな行為をパブリックスペースの中に差し込んでいくこと。空間展示だけではなく行動展示なども 交えながらパブリックのコードとプライベートのモードをクロスし、その境界を曖昧にしていくこと。そんな僕らの世代の共有感覚を表現したい。

 では、なぜ、名前が変わったのか、一言でまとめるなら、花村さんの「こだわり」となるのですが、「トランスパブリック」とした方が、上記のコンセプトを直接表現するものとなるだろう、との判断に至ったためです。実際、本日、應典院2階の「気づきの広場」には人工芝がひかれ、お寺のロビーが「公」園へと「トランス」しました。こうした空間に道路標識のモチーフによって表現された「私的」な情報が展示されていくことによって、「公」と「私」がうまく倒錯していくことになるでしょう。とまあ、ここまで文字で表現しながらも、結果として「百聞は一見しかず」ですので、どうぞ16日から31日まで、パブリックなモードをまとい、少しだけ「異化」された應典院にお越しください。



<この投稿は應典院ブログ1月13日の記事より転載しました>

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